三大都市圏の2019年地価 朝日向猛

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平成31年地価公示が国土交通省から公表された(2019/03/20)。
データがダウンロードできるので、東京圏、大阪圏、名古屋圏の市町村別住宅地の平均価格を落としてみた。

三大都市圏を比較してみると東京圏の地価が異常に高いことがわかる。
最高の港区では434万円/㎡、さいたま市(浦和区)でも95万円/㎡ちかい(ともに上位の価格)。
大阪圏の最高は、大阪市福島区で約91万円/㎡でさいたま市(浦和区)よりも低い。
名古屋圏の最高は、名古屋市中区で128万円/㎡である。

(下図)2019年地価公示、三大都市圏の比較
  

地価は都心部からの距離に応じて減衰していく傾向にある。
どのような下がり具合なのか試しに地図上に描いてみた。
今回は、フリーのGISソフト「Mandara10」(マンダラ)を使って描いている。
マンダラは埼玉大学の谷謙二先生が開発したフリーソフトでこのような市町村別の作図等には殊の外向いているスグレモノだ。







地図は等縮尺で描いているので、地価の広がり具合が見やすいのではないだろうか。
東京圏は、東京都心を中心にしてほぼ同心円状に地価が減衰しているのがわかる。
大阪圏は、大坂市が中心的だが、京都市や神戸市にも地価が高いところがあり分散的である。
名古屋圏は、名古屋市の中区を中心にしているが、東の方の豊田市方面の地価が高めであることがわかる。

ちなみに「Mandara10」(マンダラ)は、自動的に等値線も描いてくれる。
便利だな。。。



さて、都心からの距離に応じて地価が減衰していくことはわかったが、どの程度の減衰なのかは、統計的に分析する必要がある。
都心からの距離は、通勤時間にも左右されるはずなので、公共交通による移動時間に置き換えて考えてみたい。

各都市圏の都心から各市町村への公共交通と徒歩による到達時間を計測してみたい。
例えば、東京圏の場合、東京駅から各市町村への到達時間を計測する。新宿もあるけどまあいいか。
大阪圏の場合、大阪駅からの到達時間、かな。京都とか神戸とか気になるけど。
名古屋圏の場合、名古屋駅でいいかな。栄のような気もしますが。

で、何百市町村も「YAHOO!乗り換え」とかで計測するもの大変なので、エクセルのVBE使ってYAHOO!にアクセスして到達時間を得ることとした。
ちなみに、行き先は各市町村の役所とした。役所は住宅地じゃあない、と指摘されそうだけど、まあいいや。
その結果を「Mandara10」(マンダラ)で表示したのがこれ。







こういう図をさくっとつくれる「Mandara10」(マンダラ)はやっぱりすごいよ。

さて、三大都市圏別に、市町村別の住宅地の平均地価、各都心から市町村への到達時間という2つのデータが得られた。
ここで、各都心から市町村への到達時間を x とし、
市町村別の住宅地の平均地価を y として、
散布図を描いた上で、エクセルの近似曲線を用いて、当てはまりの良い近似式を作成してみた。



東京圏は累乗式が最も当てはまりが良い。


大阪圏は指数式が最も当てはまりが良い。


名古屋圏は累乗式が最も当てはまりが良い。

どこも都心からの到達時間に従って地価は減衰しているのだが、もっとも明快なのは東京圏である。
大阪圏は都心といっても大坂、京都、神戸というふうに大都市が分散している。あ、堺市というのもありますね。
それから、名古屋圏は圏域内では遠方の豊田市の方も地価が高く、減衰が明快にでていない。

なお、エクセルの近似曲線は便利なのだが、どうも、一旦対数変換して直線式にしてから最小二乗法で近似式を作成しているらしい。
昔はみんなそれで近似式つくっていたし、それはそれで便利なのだが。

「R」を用いて非線形回帰分析による結果(赤線)とエクセルの近似式(青線)を比較しているとこんな感じ。

すこーしずつ違っているのがわかりますね。


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